TAS(Tool-assisted speedruns)の歴史

1999年
Doomにおける「TAS」の誕生

 Andy Kempling(ハンドルネーム:Aurican)氏が
Doomのソースコードを変更し、スローモーションでセッションごとに
動画を記録することを可能としたバージョンをリリースしました。
このことによって、ツールによって記録する動画を撮ることがはじめて可能になったのです。
Esko Koskimaa氏、Peo Sjoblom氏、Yonatan Donner氏はこれらの動画を共有するはじめてのサイトを解説し、
このようなツールによって記録する動画のことを「Tools-Assisted Speedruns(TAS)」と呼ぶこととしたのです。
 TASは他の多くの録画された動画たちとは違い、(やり直しが可能なため)、
TASを扱うサイトでは技能競争よりもエンターテイメント目的のためだったということを強調し、
ツールで録画可能な、最速を目指す競争へと進化していきました。

2000年
Doomにおけるセーブ箇所からのやりなおし機能の誕生

Killough's Marine's氏がリリースしたバージョン2.03によって更に録画することが簡単になりました。
やりなおしをする際に、やりなおしをしたい場所まで動画を再生するという作業の必要がなくなったのです。
なお、DoomのTASサイトは、2001/8/10までアクティブでしたが、現在はPrBoom5というサイトに引き継がれています

2000年
ファミコンエミューレータ「Famtasia」における追記機能の誕生
もともと「Nesticle(ファミコンエミュ)」や「ZSNES(スーファミエミュ)」といった有名エミュレーターには録画機能は存在しましたが、
途中からやりなおすことは不可能でした。
こういった動画たちを公開していた日本の有名サイト「ハイレベルチャレンジ(管理人カシオン氏)」というサイトでの
チャット上の話にて、追記機能(録画時に途中からやりなおす機能)があったら面白いんじゃないかな?という話があり
ファミコンエミュレータ「Famtasia」にFamtasiaの作者Nori氏により追記機能が搭載されました。

2000年
ファミコンにおけるはじめてのTASの誕生
わいわい氏によりFamtasiaの機能テストとしてファミコンのはじめてのTAS動画が撮られました。(マリオのタイムアタック
この動画には後にTASの大ブームのきっかけを作った「morimoto氏」も感銘を受けたと語っている


2001年
TASのエンターテイメント性の確立
とくしん氏によりマリオ3のタイムアタック動画が作成されました。
強制スクロールのような、早く進むことが不可能な面で
「遊び」の要素を入れることでTASをいっそう面白いものとしました。

2003年
TASの一大ムーブメントの発生
morimoto氏がFamtasiaで作成したマリオ3の動画がMPG形式とWMV形式で「やるきなす」というサイトで公開されました。
このことによってこれまでTASを見たことがなかった世界各地の人間が驚き、これは本当に人間のプレーなのか?と驚きました。
その後、「ツールを使って1/10のスピードでやりなおしを繰り返しながら撮っている」とのネタバレが掲載され、
TASとはどのように撮るものなのかということが世界中に知れ渡る結果となったのです。
この後、長い間Famtasiaはファミコン追記動画の標準として君臨することとなります。
また、morimoto氏が作成した「ロックマン2」や「グラディウス」といった有名ゲームのTASも世界中に広まることとなりました。
※この頃のTAS動画は、賛否両論が渦巻き、技能競争こそがタイムアタックだ!
やり直しができるのなんて邪道だ などといった意見も多く見られたが、
認知度があがるに伴い、「TAS」というのは1つのエンターテイメントジャンルなのだなということが理解されるようになってきました。

2003年-2004年
やるきなす上でのバグ発見の盛り上がり
やるきなすというサイトには多くのTASファンが集まり、
morimoto氏、FinalFighter(このサイトの管理人)やBisqwit氏(TASvideosの管理人)、
Mana氏(マリオのバグの大半を発見した人)、pom氏(マリオ1世界記録所持者)
マンダー氏(マリオカートの非TASの世界記録所持者)といった人たちが交流を続けていた。
その中で、ロックマン1や2のバグを多用したTAS動画が生まれ、
バグを自ら発見し、TASに生かすという新たな戦いがはじまることとなったのである。
なお、この頃の長時間のTAS作成は、一度セーブに失敗すると
失敗箇所近くまで再生するのに非常に時間がかかっていたが、Blip氏が作成した60FPS Famtasiaの誕生で
バイナリによる連結が容易となり個々の箇所にわけて動画を作成すればよくなったため、
飛躍的に動画を作る時間が短くなった。
※なお、「ロックマン2」はほぼ1年後(2005年)に完成となった。
※なお、Blip氏はその後、Snes9XやFinalBurnAlphaなどといったエミュに追記機能を搭載している。

2003年
Nesvideosの誕生

その後、やるきなすの掲示板で交流を続けていたフィンランド人のJoel Yliluoma(ハンドルネーム:Bisqwit)氏が
エミュレーターによって撮られたTAS動画をアップし交流する英語サイト「Nesvideos」 を立ち上げました。
これにより、日本、海外を問わず世界中の人々が世界記録を目指し切磋琢磨する環境が整ったといえます。
なお、「Nesvideos」というサイト名はNES以外の動画も多く撮られることとなった
現在では「TASvideos」というサイト名になっています。
※なお、Bisqwit氏は、サイトオープン直後に(その頃はTASの知名度が低かったため)
「追記なんてずるいじゃねーか」という電話が殺到したらしく
「ツールによって録画した動画です!」と動画やサイトに明記するようにしたそうです。
※また、IRCでは#Nesvideosというチャンネルで世界中のTASプレイヤーによる意見交換が行われている。

2003-2005
ファミコン以外のエミュレーターにもTAS録画機能が誕生
ファミコンエミュレーターFamtasiaのみが
安定してTASを撮ることのできるエミュとして長年使われていましたが、
TASの普及に伴い各種エミュレーターに次々にTAS録画機能が搭載されていきました。
これにより、「ファミコン」「スーパーファミコン」「メガドライブ」「GB,GBC,GBA」「Nintendo64」などの
有名コンシューマー機はほぼ追記動画を撮ることが可能となりました。
※アーケードエミュレーターにおいても「FinalBurnAlpha」というエミュレーターが追記機能を搭載しています。

2005
FCEUltraの誕生

ファミコンの追記動画を撮るために特化されたようなエミュレーター「FCEUltra」が作成された。
追記動画の作成はもちろん、高精細な音やAVIの録画、
「Frame Advance機能」(1フレームごとにキー入力をしながら先へ進む機能)が強力である。
ソースコードが公開されているため自分で作成したソースコードを組み入れて
難易度の高い箇所で自動操作させるといった新たな試みも生まれはじめた。
有名な例では、ロックマン1、2での「Bisqbot」がある。(理解にはC言語のプログラムとROMの逆アセンブル、デバッグが必須だが)
これにより特定のメモリ状態になった際(数万回に1回とか)しか成功しないような技も成功するようになったのである。

2006
動画共有サイトによる知名度爆発
TASVideosでは「BitTorrent」を用いたAVI動画の共有が行われることとなった。
これにより、エミュレーターやROMを持っていない人でもTAS動画を閲覧することが可能となった。
また、こういった動画たちが動画共有サイト「Youtube」などに
アップされることによりこれまでTASを見たことがなかった層が動画を見るようになった。
日本では「ニコニコ動画」の普及により、「TAS」というジャンルがあるのだなとはじめて知った層が
こういった動画を求めて様々なサイトを訪れることとなった。

2005-2006
各種のマスメディア媒体で紹介されることとなる
なかでも、「MTV News」は非常に見ている人が多い媒体であるようだ。
また、「GEE」はドイツのゲーム雑誌である。
以下wikipediaより引用
http://en.wikipedia.org/wiki/Tool-assisted_speedrun 

Very extensive article about speedrunning, both tool-assisted and unassisted, in general.
Very well-informed article on the differences between unassisted and tool-assisted speedrunners and the reason why this causes controversy between the two camps.
Posting of a tool-assisted speedrun on Slashdot, a news website and Internet forum.
Interview of a tool-assisted speedrunner about speedrunning in general.
Interview of Joel Yliluoma, webmaster of TASVideos, currently the largest tool-assisted speedrunning website.
Another interview of Joel Yliluoma, conducted in 2005, about speedrunning in general.